今のところ未定

なにを書こうか、考え中

#34 通信で過去を変えるSF『未来からのホットライン』

はいどうも、wiiです。
今回は、かねてから読もう読もうと思っていたJ.P.ホーガンの作品『未来からのホットライン』を読んだ。

作品説明

スコットランドの寒村の古城で暮らすノーベル賞物理学者。この老科学者が地下の実験室で開発したのは、60秒過去の自分へ、6文字までのメッセージを送るプログラムだった。孫たちとともに実験を続けるうち、彼らは届いたメッセージを60秒後に送信しないという選択をしたが、何も起こらなかった。だがメッセージは手元に残っている。では送信者は誰なのか?そして、この宇宙はいったいどうやってできあがっているのか?

感想

良かった点

・発明者ですら何が起こっているかよくわからないところからスタートして、読者がゆっくりと理解できるように丁寧に議論が行われる。(それでも難解なところはある)
このおかげで、何が起こっているのか、何をしようとしているのかが伝わる。
空想科学であっても、おおもとになる部分以外は理詰めで話しを進めようとしている話の作りが好き。この作りこみがホーガンの良さだろう。『星を継ぐもの』でもそうだった。
基本的にはこれだけなんだけれど、これこそがこの作家を有名足らしめていると思うので、期待を裏切らない作品だったね。

・終盤のテンポの良さ
終盤になってくると、理詰めの部分は終わりで、ここまでに考えてきた現象を用いてバンバン話が転がっていく。疾走感が半端ない。

世界線の再構成の表現
過去に大きく干渉した時点で、その節は終わりを迎え、その節で描かれた世界線自体も終わりを迎える。そして、次節では干渉された時点からのリスタートになる。この淡々とした感じが、不気味というか無機質な印象を与え、緊張感のある読書となった。

・おまけで、たまたま大団円になる、というのもよかった。
過去に干渉するということはなにが起こるかわからないんだから、大団円になってもいいだろう?という図々しさにクスリときた。

悪かった点

・過去への通信で変えようとする事件が二つあるのだが、この二つに関係がない。
どうせなら絡ませて、より重厚にしてほしかったかなと思うところはある。例えば、「1件目を解決することで2件目が悪化してしまう、どうすれば…。」みたいな展開が好み。ちょいもったいなかったと感じた。

・本筋とは関係ない理論の展開が冗長。
作品の序盤~中盤で、重イオンによる発電施設の説明が長々と入り、体力が持っていかれる。この作品では、時間跳躍と世界の再構成が論議の主眼であって、重イオンによるエネルギー創出はおまけであるはずであるので、簡潔に描写してほしいところである。
あるいは、その筋の人からすると好物になるのだろうか。門外漢の私には少々荷が重い部分であった。

総評

J.P.ホーガン強し。
『星を継ぐもの』、『造物主の掟』、本作品の三作しか読んだことがないが、この人の作品は全部読みたいと思わせてくれる。
自分が作品の中でどんなことができるだろうか、と楽しめているのかもしれない。

ちなみに、日本では有名なゲーム、『シュタインズゲート』のもとになったとかなんとか。これが30年越しだからホーガン氏の尖り具合がうかがえる。信憑性も関連性も知らないけれど、そちらもいつか楽しんでみたいものだ。

以上

#33 ヨーロッパ旅行改め、東京旅行。

はいどうも、wiiです。

ヨーロッパ旅行するつもりが気づいたら東京旅行になっていた。
もうコロナさんが大暴れでなす術なしですわ。
仕方ないので成田までの飛行機に乗り、東京の友人の家を渡り歩く日々を10日間ほど過ごしてきた。
そんな中で印象的な出来事を書き残しておくことにする。

富士急ハイランド激空き案件

3/22日。博物館や美術館、テーマパークが軒並み臨時休業している中、部分営業をしていた富士急ハイランド。東京都から少し離れているとは言っても、東京からの来園者は富士急ハイランドにとって大きな割合を占める。東京視点では営業している数少ない遊園地だったということだ。

…にもかかわらず、東京駅⇒富士急ハイランドのバスはめちゃくちゃすいていた。

具体的には、60人乗りくらいのバスに4人しか乗客がいないという状況である。しかも、三人は私と友人二人であり、残りの一人は富士急では降りず、河口湖方面へと去っていった。これ、私たちが行かなければ富士急で降車する人は0人だった、というかたった一人の貸し切りバスになるところだったのである。
案外みんな外出を控えているのかもしれない。

 

このバスがたまたま空いているのかとも思ったが、実際に富士急に入ると、その空き具合が一目瞭然であった。
当日の並んだ時間を見ていただければよくわかると思う。

アトラクション 通常待機時間 当日待機時間
FUJIYAMA 90分 15分
ドドンパ 100分 70分
高飛車 95分 5分
ええじゃないか 120分 40分

タイミングが良かったこと、二人グループが優先された(高飛車)こともあるが、通常よりも著しくスムーズだった。
富士急四大コースターにすべて乗れたことが何よりの証である。

コロナリスクがある以上、大きなリターンもあるんだなあと思った出来事だった。
ちなみに、富士急側はコロナ対策として、列に並んでいるときは十分間を空けるように、立ち位置シールでサポートしてくれていたし、アトラクションに乗る直前にはアルコール除菌が徹底されていた。

やっぱり東京はジャンプが早売り

3/19木。かつて東京に住んでいた時にお世話になっていた個人商店で、広島じゃあ月曜まで買うことができない週刊少年ジャンプを入手。
これ地味にうれしいんだよね。

「あつまれ どうぶつの森」発売

3/20金。この日は100日後に死ぬワニが死んだらしいが、私にとっては「あつまれ どうぶつの森」(以下あつ森)の発売日。

あつまれ どうぶつの森 -Switch

あつまれ どうぶつの森 -Switch

  • 発売日: 2020/03/20
  • メディア: Video Game
任天堂のゲームは結構好きなのだが、どうぶつの森シリーズはまだ手を出したことがなかった。今作がデビュー作となる。
ただし、少し懸念がある。
ゲームをするときはめちゃくちゃのめりこむタイプなこと、春休みで時間があること。この二つを考慮すると、スローライフを楽しむこのゲームはやることなさすぎ!となるのではなかろうかという疑念。
結果としては、本体時計をいじってストーリー上のイベントをいくつか進めるという非推奨プレイをかましてしまったが、まだ楽しめている。
いつ飽きるのか非常に心配であるが、メガヒットタイトルを旬なうちにプレイするという目的は果たせているので良しとしよう。長く続くといいな。

写真スタジオに行ってきた

3/26木。広島に帰る前、少し暇な時間ができたので写真スタジオに行ってきた。
前々から、私といえばこれ、という写真が欲しいなと考えていたので、この機会にやってしまえと決意。
写真スタジオで人生初?メイクをしてもらって、カメラマンさんに写真を撮ってもらった。レフ板とか、あのバシン!ってなる照明器具での撮影は楽しい。
50枚くらいの撮影データはDropboxですぐに共有されて、文明の利器様様である。
あと、メイクの力ってすごいね。うっとうしい青ひげがしっかりと隠され、肌がきれいになっていたもの。
おかげで、現在進行中の脱毛を完遂してやるという気持ちと、洗顔をちゃんとしようという気持ちを強めた。
それ以上に、痩せようと思う羽目になったのは悲しかったけどね!


めちゃめちゃ雑な日記になった。
以上

#32 ヨーロッパ旅行で使った予約サイトたち

はいどうも、wiiです。
いよいよ2週間後に迫ったフランス・イタリアのヨーロッパ旅行。
いい加減諸々の準備をしなければということで、航空券、ホテル、鉄道などを手配することに。
備忘のために、どこのサービスを用いたかを書いておく。

航空券

skyscanner

f:id:wii0513:20200303000410p:plainSkyscanner
航空券の一括検索用サイトおよびそのアプリ。
とりあえずこのサービスで良い。
空港ではなく地域でも検索してくれるのは助かるね。

Trip.com

jp.trip.com
予約の窓口になってくれるのはこれ。
必ずしも最安値の航空券を手配してくれるわけではないが、サービス面が安定しているので利用。
カスタマーサポートに電話したことあるけど丁寧に感じた。

各種航空会社サイト

jp.ch.com
Trip.comでは売り切れていたりしても、おおもとのサイトに行けば手配できることも。
また、セール情報が得られるので気になる航空会社は普段からチェックすべし。
今回は広島⇒成田のために春秋航空のサイトから航空券を手配。

ホテル

まずはBooking.comで仮予約しておいて、Airbnbで激安優良物件があればそちらに移行するって感じで予約した。

Booking.com

www.booking.com
スタンダードなホテル予約サイトおよびアプリ。
サービスを何度か利用していると割引などを頻繁にくれるイメージ。
登録ホテル数も非常に多い。
キャンセルがいつまで無料なのかがわかりやすく、仮予約的な使い方もできるので助かる。

Airbnb

www.airbnb.jp
民宿がとにかく安い。
普通の宿ではドミトリー(相部屋)くらいの値段で、個室を借りられることも多い。
なぜか予約前の宿の情報で詳細な地図が出てこないのが欠点かな。

鉄道等

レイルヨーロッパ

www.raileurope-japan.com
フランス内の移動に使うTGVについて予約できるサイト。
日本語でいいのがありがたい。
今回はパリ⇒レンヌなどの切符を事前に購入。
ただ、早割があるらしいので急ぐべきだったと後悔。

Omio

f:id:wii0513:20200303003715p:plainhttps://www.omio.jp/
レイルヨーロッパの守備範囲外の交通機関についての予約。
レンヌ⇒モンサンミッシェルのバス予約等に使用。

レンタルWi-Fi

Wi-Ho

空港受取、空港返却ができるのは良い。
同じようなサービスにグローバルWi-FiとイモトのWi-Fiがあるみたい。使ったことはない。

jetfi

ほかのレンタルサービスでは、複数国にわたる旅行の場合周遊プランにする必要があり、値段が跳ね上がる。
しかし、jetfiならそれがない。すなわち今回の旅行のようなときには段違いの安さで借りられる。
返却が郵送しかない、通信が遅そうというのが気になるが、今回はこれを使ってみることにする。

(まだ手配がすべて済んだわけではない。今後新たなサービスを使用次第、追記)

以上

#31 世界がコロナで大騒ぎしているのに旅行なんて行けるのか

はいどうも、wiiです。

新型コロナウイルスでめちゃくちゃドタバタしてきた。
少し前までは中国⇒アジアの問題とみなされ、日本人も同一視されて警戒されていた印象。

それが今では、日本よりももはやヨーロッパの一部の国でよりはやっている。
私は3月中旬から4月頭までヨーロッパ旅行に行く予定だというのに…。
渡航先のことを少しは知っておくべきと思い、フランス・イタリア周りの現状を調べてみる。
これで新型コロナCOVID-19の影響で観光ができなくなってたら泣くよ。

宗教上の聖地は感染病の温床?

www.bbc.com
BBCニュースより引用。
うすうす知ってはいたけれど、
中国以外では韓国・イタリア・イランが特にはやっている様子。
しかもイタリアに入った経緯は不明ときている。韓国みたいに陸続きで近接しているなら仕方ないなと思うけれど、なぜイタリア。
とここで、イタリアもイランも共通点があるなと気づく。
イタリアの首都ローマには、キリスト教の中心地であるバチカン市国があるし、イランの第一感染者はイスラムシーア派の聖都ゴムで発見されたとか。
てことは宗教がいかに人の流れに関わっているかを表してるのかもしれない。聖地なら渡航先として選ばれやすいのかも。

当局は、ロンバルディア州ヴェネト州で複数の町を封鎖。計約5万人の住民が許可なく町の外に出られなくなった。
休業や休校が相次ぎ、プロサッカー・セリエAの試合を含むスポーツ・イベントが中止された。

そんでこれ。やっぱりあるじゃないか。。。ロンバルディア州の州都といえばミラノ。
事態の収拾を目指す以上当たり前だが、一観光客として悲しい予感がする。
念のため言っておくと、私を顧みてほしいとは当然思わないし、こんな時期に渡航して、わがままでごめんとは思う。

フランスとイタリアの国境封鎖という意見も

新型コロナウイルス感染でフランス人がマスクを… - 山口 昌子|論座 - 朝日新聞社の言論サイト
フランスでも警戒は強まっている様子。
実際、コロナウイルスのために、Airbnbで予約していたモンサンミッシェル付近の民泊が一件キャンセルになってしまった。
この記事によると、反移民の立場をとる政治家はこの機に乗じて「イタリアとの国境を封鎖せよ」とまで言っているのだとか。
おいおいこちとらフランスモナコイタリアと訪れる予定なんだから封鎖しないでおくれ。

訪れる側のマナー

もうね、観光でわざわざ訪れるだけで渡航先の国にも、自国籍の国にも迷惑をかけうるわけ。
観光地は封鎖されていないみたいだし、中止にしないわがままを通させていただく分、感染しないように予防マナーはしっかりしないとね。
とりあえず、

  • 機能十分なマスク
  • アルコール消毒液
  • ハンカチ・ティッシュ

ここらへんは必ず持っていこうと心に誓ったのであった。

以上。

#30 第2回本屋大賞ノミネート作品『ベルカ、吠えないのか?』

はいどうも、wiiです。
以前の記事で本屋大賞周りの記事をいくつか読もうと考えたので、1冊目に着手した。
wii0001-weblog.hatenablog.com

過去の記事の中で、最も気になっていた本として今回選んだのは、『ベルカ、吠えないのか?』

ベルカ、吠えないのか? (文春文庫)

ベルカ、吠えないのか? (文春文庫)

感想

独特。
文体や視点がとにかく独特で、読んだことのない種類の作品だなあと思わされる。
一口に言えば架空のイヌたちの関係を緻密に組み立てた、歴史の中に生きるイヌたちの群像劇。
イヌの考えは人語で語られるし、犬の名前や血統は何度も言及されるのと対照的に、人間の名前は一つも出てこない。
人間は全て、組長や操縦士など、立場などに基づく記号の名前を与えられる。
あくまでイヌたちの物語だと刻めということなのだろう。

年代ごとに話が区切られる中で、断続的に語られる少女と犬たちの物語がいいアクセントになっており、読み飽きづらかった。
どの年代の戦争において、どのような勢力が火花を散らし、政治的な駆け引きはどうであったのか、という部分は少し冗長に感じてしまう部分はあった。
しかし、情勢説明ではなくイヌ視点の物語へ移行してしまえばそこからは一気に惹きこまれる。
イヌの物語に入ると、その野性と知性を表すかのように話が臨場感にあふれ、論理は明快になる。ここが気持ちいい。
北海道犬「北」に連なる、「アイス」たちの物語や、終盤に語られるためにこれまでの様々なイヌの物語が交わる「グッドナイト」の物語が読みごたえがあった。



我が家では犬を二匹飼っているが、ともに小型犬であり、この本に出てくるような体躯のしっかりとした軍用犬種ではない。
自分の中の愛玩動物としての「犬」像が、力強さ、精悍さのある「イヌ」像に拡張されたとでもいうのだろうか。
とにかく私の中に爪痕を残したことは確かである。パワフルな作品だった。

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読む前の「犬」像
f:id:wii0513:20200225225121p:plain
読んだ後の「イヌ」像

以上。

#29 常人とは異なる脳を識る『9つの脳の不思議な物語』

はいどうも、wiiです。
今回はこの本を読んだ。

9つの脳の不思議な物語

9つの脳の不思議な物語

読書メモ

第1章 ”完全記憶者” ボブ

自分の人生のほぼ全ての日を記憶しているという男性、ボブ。
人の記憶はなぜ消えていくのか、彼はなぜ消えないのかというお話。
・記憶には「感覚」「短期」「長期」の三種類があり、それぞれ脳内の保存場所が異なる。
・海馬の電気刺激である種の記憶を呼び覚ますことが可能。
・記憶はシナプスに存在する
・人間は記憶を思い出すことによって強化、定着させることが可能。
・思い出す、に一工夫加えれば「偽の記憶」を創造することが可能。(「偽の記憶」実験)
・消えていくのは
・無意識に過去の記憶を復唱しているから、記憶力が並外れているのかもしれない。

第2章 "究極の方向音痴" シャロン

とある瞬間に、世界がぐるりと回る。自分がどこにいるのかわからなくなるという女性、シャロン
方向感覚という高度な能力はなにに由来するのか、というお話
・地理的記憶力の強化は海馬の肥大化を生む。
・海馬の「場所細胞」と呼ばれる細胞たちは、各個の細胞が現実の特定の場所に対応しているようだ。
・ネットワーク説:特定機能の高さよりも、機能領域間での情報伝達が重要であるという考え方
・方向感覚情報を統合する機能への伝達にエラーが出ていると考えられる

第3章 "色盲共感覚者" ルーベン

出会う人にカラフルなオーラを見る共感覚を持つ男性、ルーベン。
視細胞の異常で一部の色を視認できない色盲でもある。
共感覚は全人口の4%の人が有しているが、気づいていないことがほとんど
共感覚者の脳には、通常なら幼児期に除去される神経系が残っている
・文化によらず、赤色のユニフォームを着たチームは勝率が高いことは、人間の脳では色と何らかの感覚との間に普遍的なつながりがあるはず
クオリア:各個人が見ている世界は同一か、という概念

第4章 "元詐欺師の聖人" トミー

くも膜下出血の手術前後で、暴力的な性格から穏やかな性格へ一変した男性、トミー。
私たちの人格は何によるのか、外的刺激で突如変貌したのはなぜか、という話。
・術前と術後で脳の状態が変わり、性格が大きく変化する例はいくつもある。
・「別々に育てられた双子に関するミネソタ州の研究(MISTRA)」では、環境要因が人格に与える影響は小さいとされている。
(見た目の相違→扱い・立場の相違→環境要因の類似となっているのではないかという意見には、容姿の告示した人物を対象比較することで反論した。)
・人の性格は上脳と下脳のバランスで決まるという説もある
・通常は意識していなかった刺激を脳が除去できなくなると、全てに情緒を感じるようになる?

第5章 "幻聴を聞く絶対音感保持者" シルビア

頭の中で幻聴がなり続ける女性、シルビア。
なぜ幻覚は起きるのか、それは精神疾患の徴なのか?というお話
・とある事象の幻覚を見ているときの脳の活動部位は、同一事象が現実に起きた時と同様である。
・想像したときよりも、幻覚を見ているときの方が活動は現実事象発生時に近い。
・シャルル・ボネ症候群:失明後すぐ、幻覚を見るようになる症状
ガンツフェルト法:幻覚を体験する実験。
・幻覚は「脳が不活性状態に耐えられず」、「感覚情報の入力が減ると自律的に感覚を生み出している」ために生じているといわれる。
・「我々の現実というのは、感覚によって抑制されている、コントロールされた幻覚に過ぎない」「それは、現実と(限りなく)一致した幻覚」
・幻覚は、必ずしも精神的な崩壊の兆しではないのである。あくまで感覚情報の補正であることもあるということだ。

第6章 "虎に変身する男" マター

自分が動物に変身したと思い込む狼化妄想症を患う男性、マター。
私たちはどうやって自分を認識しているのか、というお話。
統合失調症は、自分自身が起こす出来事と外界の出来事の区別を行うネットワークが崩壊した結果と考えられている
統合失調症患者は自分の身体行動が引き起こす身体感覚の予想能力が低い。
(右手で左脇の下をくすぐると、くすぐったく感じるなど)
幻肢痛も同様に、脳が刺激を特定部位に受けたものと誤認することに由来する。

第7章 "離人症のママ" ルイーズ

自分自身からの隔絶を感じ、世界とのつながりを感じなくなる離人症とともに生きる女性、ルイーズ。
―あなたは、誰ですか?
統合失調症との違いは、精神疾患を伴わない点。つまり、自分の感覚は現実と乖離していると認識できる点である。
・内受容:自分の体の状態を感じる能力(脈動を、手などを使わずに胸で感じるか?)
・内受容能力の高さは思考、感情、社会的行動に関する能力の高さと密接にかかわる。(内受容超大事)
・情動と感情は別。情動は無意識化に行われる物理刺激への脳の反応であるが、感情は情動を評価・自覚し、表現されるものである。
・実際に、物理的に笑顔の表情を作ることで、ポジティブな情動と評価され、実際に幸せな気分になることが証明されている。
・強い感情を引き起こすには島、腹側前頭前野の働きが重要であるようだ。

第8章 "三年間の「死」から生還した中年" グラハム

「自分の脳がなくなった」「自分はすでに死んでいる」と訴える男性、グラハム。
不可思議な「意識」はどこから来るのだろうか、という。
・コタール症候群:自分が死んでいると思い込む
・小脳がなくとも意識に全く影響を及ぼさないことが判明。

第9章 "他者の感覚とシンクロする医師" ジョエル

他人の感情や触覚を、自分のもののように感じとる男性、ジョエル。
なぜ彼の脳は他人の感覚を自分のものと誤認してしまうのか?
・通常の人も、他人の情報を敏感にキャッチしているが意識に表れてこない。
・彼の場合は、自他の区別をする機能が不全となっており、ミラータッチ共感覚を引き起こしている。
・人間の脳がどれほど取捨選択を行っているのかを示す例である。

感想

興味深い症状や、実験の連続で読んでいて飽きない。
また、第6章から第9章まで、自分とは、意識とはの流れがきれいでとても読みやすかった。
そして、これらの特殊な感覚をもつ人たちが必ずしもそれに苦しんでいるわけではないというのは、少しうれしく思った。
異常が起きているから不幸だなどと思うのは、健常者の思い上がりだろうなと感じるのだ。
こんなことが自分にもできたらなという点では、「内受容」と「記憶の宮殿」はめちゃめちゃ興味を惹かれた。
読み物としては非常に読みやすい。ただ、脳の構造くらいは何となくでもして解いた方がいいかも。。

以上

#28 今度旅行行くので『物語 イタリアの歴史』を読んだ。

はいどうも、wiiです。
来月末の旅行に向けて、イタリアの知識を少しでも増やそうと画策中。
今回読むのはこちら。

物語イタリアの歴史―解体から統一まで (中公新書)

物語イタリアの歴史―解体から統一まで (中公新書)

読書メモ

第1章 皇女 ガラ・プラキディア

え、東ローマと西ローマの関係は何?対立国ではなく和平関係?
史料などからは当時の意識としては別々の国家に分裂したわけではなく、あくまでもひとつのローマ帝国だった事が窺える。
納得。そんで東ローマのローマじゃなさ。
キリスト教だけが価値あるものとした女帝の物語。
キリスト教一強なんだね。

第2章 女伯マティルデ
あの名前だけは知っているカノッサの屈辱を中心に、皇帝、教皇との因縁のある人。
教皇グレゴリウス7世と皇帝ハインリヒ4世による、教皇権vs皇帝権争い。
11世期末の出来事であり、この頃の教皇は最強であった。
キリスト教を頂に置くヨーロッパだったのだ。
ハインリヒが教皇の切り札「破門」に対して詫びるのがカノッサの屈辱
一矢報いたりするも時代に取り残されるハインリヒなのであった。

第3章 聖者フランチェスコ
1200年頃、十字軍の活躍もあり東方文化がヨーロッパへともたらされた。
当時の東方は文化的に進んでおり、ヨーロッパ文化が影響を受けるのは必至だった。
この刺激を受け、清貧の聖者フランチェスコが活動を始める。
文化刷新のため、立場を脅かされつつあったキリスト教は、民衆からの支持の厚いフランチェスコを抱え上げ、権威の保持をもくろんだ。
「清貧」を守ることは、教会・教皇の権威とはアンビバレントなものであったが、組織運営上の脆弱性ゆえに瓦解した。
結果だけを見れば、教会の一人勝ちであるともいえるが、思想が一世を風靡し今もなお特筆されるのだから、
フランチェスコはその存在をして歴史に清貧の価値を刻んだといえるだろう。

第4章 皇帝フェデリーコ
辣腕を誇ったドイツ・シチリア皇帝。
権力集中を恐れる教皇と正面衝突した人。
教養人を独占する教会と袂を分かち国を運営するには、内部で優秀な官僚を育て上げることが必要と考え、
ボローニャ大学を設置するという行動には、彼の先見の明と、国の未来を思う心が如実に表れている。

第5章 作家ボッカチオ
ボッカチオ個人に焦点を当てたというよりも、当時の著名作家の関係を通して世相を知る感じ。
彼の代表作の『デカメロン』は黒死病(ペスト)を受けての物語。
ペストについて何度も語られ、その重要性を表していたのだろう。

第6章 銀行家コジモ・デ・メディチ
マジで誰だ、と思った。しかし、読んでみれば超重要人物っぽい。
財界≒政界であり大衆は無権利だった時代。
権威あるはずの教会は内部分裂でその権威を無くしていった。
金の流れを抑える・察知できる銀行家の強みで大国間の均衡をキープする手腕の持主。
教会による世俗分断のため、国家統一が難しいイタリアを平和にまとめるためにはこれしかないという一手。

第7章 彫刻家ミケランジェロ
芸術家を用いることで、権威の強大さを誇示できるんだろうなあ。
ミケランジェロとレオナルドダヴィンチは同時代らしい。

第8章 国王ヴィットリオ・アメデーオ
印象残らなかった。ごめん。

第9章 司書カサノーヴァ
主にヴェネツィアについて書かれた章。
潟のあまりの特殊性が、この都市を特異なものにしていき、都市内部権力の独占を招いたという点は面白かった。
機密ゆえ、統治者層は治水情報にアクセスできるが、一般層はその知識を得られずその隔たりは大きい。
また、機密性保持のために諜報体制が整ったというのだから面白い。
ヴェネツィアは歓楽の都市というのも、近く観光に行く身としては心躍った。

第10章 作曲家ヴェルディ
遂にイタリアが統一国家となる時。
ナポレオンの登場による均衡の破壊や、フランス革命による人文革命の波に乗ることで進んだのだろう。
精力的に活動した様子の秘密結社炭焼党も、大きな成果は得られなかったようだ。
笑ったのは、著者が昔日のミラノ・スカラ座を引き合いに出して、「現在の日本の大学の講義室」を「はなはだ行事が悪く、酔いどれの集まりのよう」だと揶揄している部分。
この先生も大変苦労なされたんだなあとしみじみ感じるのだ。

総評

私にとってよくわからない固有名詞が多すぎたりや歴史上の知識が前提となりすぎるところは潔く斜め読みした。
以前読んだ『フランスの歴史』よりも複雑に感じる。
私が世界史の知識が全くと言っていいほどないことと、イタリアはローマ帝国時代から続く群雄割拠の時代が連綿と続き複雑だからだろうか。
その点フランスは読みやすかった。
なお、フランスのときと同じく物語仕立てなのは読みやすさに役立っており、非常に助かる。
もしこのスタイルではなかったなら、読むのを断念していただろうから笑

(『物語 フランスの歴史』を読んだ時のメモはこちら)
wii0001-weblog.hatenablog.com

以上